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【国道169号】お手軽秘境温泉の紀伊半島ツーリング

 私が今まで行ったツーリングのうち、誇張なしで7割くらいは紀伊半島を走っていると思う。私が考える良いツーリングの三要素は1.水辺(海・川)、2.山、3.温泉なのだが、紀伊半島は適当にルートを組んでもこの3要素全てを無理なく組み入れる事が可能というのがその理由だ。関西圏からのアクセスもよく、いい感じの道が充実しておりルート組み合わせの自由度が高く、四季折々変化に富むためいつ行っても楽しいので全く飽きる気配がない。

今回は五條市から川上村、上北山村、北山村を通り抜ける国道169号線をメインとして、その周辺を巡るツーリングに行ってきたので、記事にまとめたいと思う。

このルートで走るの、もう何回目か分からないけど。

 

もくじ

 

ZX-9R 

実は、今まで記事にしてきたR1250RSの他に私はもう一台バイクを所有しており、それが1998年式のカワサキ ZX-9R(C型)だ。 

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ZX-9R

R1250RSと比べると、トラコンはおろかABSも付いていないし、キャブ車だしポジションもキツめだ。しかし、ライダーとバイクの間に何も介入しないダイレクト感、軽さ、回せば回すほど音と共にパワーが盛り上がっていく直4の爽快感がすごく楽しいバイクなのだ。最近はグリップヒーターのあるバイクに慣れきってしまい、寒い冬にはあまり乗っていなかったけど、だいぶ暖かくなってきたので今回は9R (以下ユメタマ)でツーリングする。

 

今回のルート

この日のルートを紹介する。

道の駅くしがきの里スタート、京奈和道かつらぎ西PAをゴールとして、国道169・168号を使って奈良県をぐるりと回るルートとなっている。

大阪市内から出発したと仮定すると、走行距離は450kmほどになる。朝7時頃に出発すれば、約12時間で完走できるだろう。1日思いっきり走るには丁度いい距離だ。

目的地の数が少ないのは、私は基本的にツーリングで観光に重きを置かないからである。知っているところだとなおさら観光せず、走っているばかりになることが多い。

 

入之波温泉

さっそくだが、今回のツーリングの目的地の一つが入之波温泉 山鳩湯だ。

ツーリングマップルにも掲載されている人気の温泉で、比較的アクセスしやすいながらも秘境感たっぷり、しかも泉質も素晴らしいという温泉である。私は今回が2回目の訪問。

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入之波温泉までの道

169号からそれて、大迫ダムの堤体上を抜ける道が入之波温泉への道となる。トンネルを抜けた先の左カーブの先が交差点なので、スピードには注意されたい。

温泉までの道は平均1.5車線ながら、整備状態は良好で離合に困ることもなく走りやすい。ダム湖沿いのダイナミックな光景が楽しめる楽しい道だ。

国道から温泉までは10分もかからないので、狭い道が苦手な人も安心。

 

肝心の入之波温泉だが、駐車場がちょっと狭いのと急坂の途中にあるので転回されるときは注意されたい。秘境にあるけど、場所自体は有名なので人は結構多い。この日も日帰り温泉がオープンする10時ちょうどくらいに到着したが、施設前の駐車場はすでに満車だった。少し離れたところに第2駐車場があるみたいだけど、ほとんどの人は急坂に路駐していた。

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入之波温泉山鳩湯

隙間にバイクを押し込んで、温泉に向かう。入之波温泉のもう一つ素晴らしいところに、湯上がりの時間を見て炊き上げてくれる釜飯があるという点がある。

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1日限定50食で、かも・山菜・あまごの三種類がある(以前行ったときは小鮎があったが、多分シーズン限定なんだろう)。

温泉に入る前に、受付で注文しておく。炊き上がには30分以上かかるとのことから、安心して長湯できる。

急な階段を下った先にある温泉の入浴料は800円で価格は平均的。シャンプー・ボディーソープ・ドライヤー完備。茶褐色の塩化物泉、ずっと浸かっていられる温めの湯温で気持ちいい。露天風呂は狭めで少し肌寒いが、ダム湖を間近に望めて景色はいい。もちろん源泉かけ流し。泉質もさることながら、温泉の析出物に覆い尽くされた浴槽は圧巻で、本来の木造りの姿が全く想像できない。まるで洞窟の鍾乳石のようになっており、「すごい温泉に来たぞ」という気分になれる。

湯上がりには先だって注文しておいた釜飯を食す。

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山菜の釜飯

以前訪問したときは小鮎の釜飯を食べたので、今回は山菜釜飯を選択。出し惜しみなく山菜が使われており、素朴かつ優しい味付けで非常に美味しい。ちなみに、噌汁と漬物と小鉢も付いてくる。田舎で食べる釜飯って基本ハズレがない気がするね。

一番人気はおそらくあまごで、11時半くらいにはすでに完売となっていた。もし釜飯が完売でも、鴨そば等も美味しいらしいので、それらを食べる選択肢も大いにありだろう。

 

国道169号について

紀伊半島を南北に縦断する国道は主に3つあり、東から169号、 168号、371号である。

高野龍神スカイラインとして有名な371号、谷瀬の吊り橋や十津川温泉郷熊野本宮大社を沿線に抱える168号と比較すると、ひたすら山とダム湖沿いを走る169号は地味な存在であるように思える。しかしながら、この3国道の中で最も走りやすいのはこの169号だと私は思っている。168号は五条-新宮のメインルートながら未改良区間がいまだに多く残り、371号は冬期通行止めかつアップダウンが激しい(それが楽しいんだけどもね)。対し、169号はアップダウンもそれほど厳しくなく、急カーブもさほど多くない。また、吉野町以南の奈良・和歌山県内のほぼ全区間が2車線となっており、残る未改良区間のうち七色ダムにかかる部分は県道で迂回可能である。そのため、本当に離合困難な隘路区間は、道の駅おくとろから奥瀞道路までのわずかしかない。その区間も、現在バイパスの工事が着々と進んでいる。

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奥瀞道路(III期)建設現場

つまり、国道169号は紀伊半島山と川の魅力を最大限に、しかもお手軽に楽しめる道路なのである。

ただ、年間を通じて非常に降水量が多く、カラッと晴れる日は稀であるのが欠点と言えよう。

 

謎のトンネル

そんな169号の、道の駅おくとろ以南の未改良区間を抜けると、バイパストンネルとの分岐点がある。その交差点をバイパストンネルと反対側に進むと、謎のトンネルがある。

地図上で見ると、こうなっている。

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Google Mapより引用

Googleマップを眺めていたときに発見したのだが、トンネルから先がどこにもつながっていない。これは一体、何なんだろうか?

気になったので実際に行ってみることにした。

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突如現れる謎のトンネル

これがそのトンネルである。1車線幅の道路を抜けた先に突如現れる2車線のトンネル、違和感しかない。

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上滝トンネル

名を上滝トンネルというらしい。2003年完成、延長461mと銘板に刻んであるが、どう考えても未供用としか思えない。
とりあえず通り抜けて、向こう側に行ってみる。

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突如終わる道路

トンネルを抜けると、突如バッサリと道路が終了する。この左側には北山川に降りることができる管理用通路的なものがあるが、河川管理用道路にしてはやたら高規格なこの道路の正体は何なんだろうか? 国道169号のバイパス事業(奥瀞道路III期)とは計画図の位置が異なるため関連性はなさそうだ。付近には北山川が流れるのみである。

偶然近所を通りかかった地元の方と思わしき男性に尋ねてみたところ、「一応待避所ということになっている。昔は(川沿いに)ぐるっと回る道路の計画が…」と曖昧な答えであった。結局謎は謎のままだったが、景色はとてもきれいで良い場所だった。

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北山川

後で調べてみたら、北山川観光筏下りに関連するものではないかと考察しているサイトがありなるほどと思った。そう思えば、このトンネルの出口側にそれらしきスペースがあった。ちなみに心霊トンネルとか、そういう雰囲気は全く無い。

 

コーヒーで締め

169号の秘境っぷりを楽しんだあと、今度は168号を経由して五條市まで折り返していく。こういったルート選択の自由度の高さが、紀伊半島ツーリングの魅力の一つだ。

途中、道の駅奥熊野古道ほんぐうでソフトクリーム休憩。

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音無茶ソフトクリーム(350円)

ご当地アイスの音無茶ソフトクリームを食す。値段の割に結構ボリュームがあり、なんなら地元のマスコットキャラがプリントされたビスケットまで刺さっていてポイントが高い。お茶の主張は少なめで食べやすいソフトクリームだった。

ソフトクリームをツーリング中に食べれる季節がやってきた。春は近い。

 

最近ハマっているコーヒーツーリングは、本ツーリングの締めとして実施した。場所は風屋ダムのダムサイト。

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コーヒーツーリング

ダム湖相変わらず適当に淹れたコーヒーを味わった後は、そのまま168号を北上して五条ICから京奈和道に入り、帰路についた。

 

まとめ

以上が本ツーリングの顛末である。国道169号は地味ながらも雄大な自然を感じられる素晴らしい道で、私は371号の次によく走る道である。今回は168号と組み合わせて紀伊半島を巡ったが、そのまま南下し続けて新宮に出てもいいし、高野龍神スカイラインに抜けてもいいだろう。ただし、冬場の積雪と、全期間を通しての雨には注意されたい。169号は本当によく雨が降るので、今回快晴だったのは奇跡レベルなのだ。ここを通るときは雨具の用意は必須。

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大迫ダム

さて、結構長くなってしまったけど、このような感じで本ブログでは今後もツーリングレポを掲載していきたいと考えている(主に紀伊半島中心で)。今回の記事が誰かのルート選択の参考に、ひいては紀伊半島の魅力を知る手助けになれば幸い。

(おわり)