バイクの試乗、めちゃくちゃ大事(結論)。
そもそもなぜR1250RSに乗り換えたのか?
別に乗っていたTracer900GTに不満があった訳ではない。パンチの効いた3気筒エンジンが実に面白いバイクで、買ってから手放すまでの約2年で北海道から九州まで日本全国色んな所を走りに行った。
アドベンチャーバイクとしては軽量な車体重量(214kg)に、充実の電子制御、ポジションは安楽そのもので不快な走行風も来ないのに、SSみたいな過激な乗り方もできる…そんな魅力のあるバイクだった。
だが、なんとも強欲なもので、納車から1年半を過ぎた頃には既に次のバイクを考えていた。飽きたわけではないけれど、今よりもっと良いものがほしいという、どうしようもなく果てしない欲である。それに、世の中にはまだまだ魅力的なバイクがたくさんあるし。
乗ったことがる人なら分かると思うが、一度アドベンチャー(デュアルパーパス)の快適さを知ってしまうと、もう前傾姿勢がキツいバイクには戻れない。それに、このジャンル自体が結構新しく、快適装備が満載の車両が多い。という訳で次もアドベンチャーが欲しくなるのは必然で、候補として考えていた候補は以下の通り。
実は、自分の中では最後の最後までアフリカツインが最有力だった。トライアンフもBMWも維持費が高そうだし、そもそも車体本体価格が高い。まだ若いし金もないし、外車を買うのはもう少し先かな…と考えていた。
が。
カタログだけでももらって帰るか、と最寄りのBMWディーラー(モトラッド神戸)に行ったのがすべての始まりとなった。
店長の「自分があれこれ言ってもピンとこないだろうし、とりあえず試乗して来て。話は戻ってきてから。」の声に押されるまま、予約もしていないのにR1250RSに試乗することになったのだ(GSはこれまたちょうど試乗で出払っていた)。
今考えたら、明らかに金を持ってなさそうな貧相な若造に、よくあんなあっさり試乗車を貸せるなって感じだが…
さて、特に候補としても考えていなかったR1250RSだが…これが信じられないくらい良かったのだ。
何が良いって、全部良い。とにかく乗りやすい。圧倒的安定感。ひとたび道路に出た瞬間からそれが分かった。玄人向け・アガリのバイクだ、と思っていた外車のイメージが完全に覆った瞬間だった。
乗りやすさの一番の理由は、もちろんとにかく低重心なところで、これはもちろんBMW伝統のボクサーツインエンジンの特性であると思う。
跨ってからの車体の引き起こしも軽い。クランクシャフトが縦置きだからジャイロ効果が少なく、倒し込みも意外なほど軽い。電子制御サスペンションは、「走ってる」というより「飛んでいる」ような感覚すら覚えるほど。セパハンだが、ポジションもそんなにキツくない。
とにかく感動した。
このバイク細かいインプレは慣らし運転が終わってから詳細に書こうかと思っているが、とにかくファーストインプレッションで完全にこのバイクの虜になってしまったのだ。試乗を終えたら、店長に開口一番「どうでした?良かったでしょ?」と言われた。
こうなることは予想できていたらしい。
その後、R1250GSにも試乗させてもらった。
これも、巨体からは想像もできないくらい軽いし乗りやすかったが、私にとってはRSの方が好印象だった。
GSもとにかく凄いのだが、あまりにも完璧すぎて「自分が乗るにはまだ早いな」と思えたからだ。実際、店に戻ってから店長にも同じことを言われた。
その後は、ローン金利1.25%だとかパニアケース半額だとか、お誂え向きのキャンペーンと店長のセールストークに負けて、購入を決めてしまったというわけ。その代わり、トレーサーの車検代においていた貯金はローン残債の一括返済で全て消し飛んだ。
…つまりノリと勢いであるが。
さてここからは書き散らしとなるが、実は私は今までバイクの試乗をほとんどしてこなかった。免許を取って初めて買ったバイクは見た目で決めたし、Tracer900GTを買ったのも「ロンツーが快適そう」という単純な理由からだった。
しかし、今だから言えるが、バイクの試乗はめちゃくちゃ大事だった。足着きや取り回しが分かるというのもあるが、バイクは乗ってみないとわからないことが多すぎる。今回だって、試乗してなければおそらく契約には至らなかったと思う。「乗ってみなくちゃわからない」というわけだ。
なので、これからバイクを買おうと思っている人は、BMWに限らずできる限り試乗してみるべきだ。私のように、予想もしなかったバイクが自分の琴線に触れることもあるし、その逆もあるかもしれないし。それに、外車ディーラーは割と気軽に試乗させてくれるところが多い。低金利キャンペーンや用品サポートなんかもほぼ恒常的にやっているので、気になればとりあえず正規ディーラーに駆け込むのがいいだろう。
ちょっと何の話をしていたか分からなくなってきたが、結局何でR1250RSに乗り換えたかと言うと…ノリと勢いである。あと、気になるバイクの試乗はしよう。