三年使ってたKABUTOのAEROBLADE-5の内装がヘタってきたので、新しいヘルメットを買うことにした。タイトルで書いてるからいちいち前説で能書き垂れる必要なんかないんだけども、いろいろ考えた末、AraiのASTRO-GXを買った。
一通り使ってみてたので、色々書こうと思う。
読まなくてもいい前説
わたしが現在所有しているヘルメットはSHOEIのNEOTEC2、OGK KabutoのAEROBLADE-5である。そのうち、NEOTEC2は高性能だがどうにもわたしの頭と合わないのか、一時間も被っていると頭痛がしてくるのであんまり使っていない。AEROBLADE-5は、値段が比較的安い割に軽くて性能もそこそこと満足していたのだけど、内装丸洗いができるのをいいことにしょっちゅう雑に洗濯機に突っ込んで(それでもネットには入れてた)洗っていたら、三年目にして内装がヘタり始めてきた。高速走行時など、風が強いときに若干ずってくるようになったのだ。あと、白ベースの帽体が黄ばんできて貧乏くさい見た目になってきたので、ここらのタイミングで乗り換えを決意したというわけである。
新しいヘルメットの選定にあたり、SHOEIは先述の理由からあんまり自分の頭に合っていない気がしていたので、KabutoかAraiかで悩んでいた。そんな中、KabutoにJIS取り消しの問題が話題に(ちょっと前だけどね)なった。製品としての問題はないと分かっていても、JIS取り消しを食らうようなずさんな体勢で運営しているメーカーの製品はやっぱり信用ならん、という思いもあったので、今まで一度も使ったことの無かったAraiを試してみよう!ということにした。
購入にあたって
その当時のAraiのツーリングモデルといえば、RX-7XベースのASTRAL-Xだった。ただ、それも発売からだいぶ経つしそろそろ新製品が出そう…と思っていたら案の定。5月にASTRO-GXが発売されるとのこと。色々進化しているらしく、これを買わない手はないと、購入を決意。7月の近所のバイク用品店のサマーセールで、既に定価の5,000円引きくらいになっていたので迷わず購入したというわけだ。フッティングサービスも最大限活用し、自分の頭の形ぴったりに内装を調整してもらった。なにげに初めて利用したサービスだけど、これけっこういいね。
デザインはひと目でAraiと分かる丸っこいデザインで、後頭部のでかいスポイラーが絶妙にダサい。
インプレッション
ここからは、Araiの製品ページの内容をベースに、わたし高山なりのインプレをお届けいたします。街乗り、日帰りツーリング、高速道路も交えたロングツーリング等、一通りのシチュエーションは試したつもり。
ベンチレーション
本モデル一番の売りと思われるベンチレーションだが、結論から言えば非常に優秀である。
外気温35度を超える炎天下の中でも、(走行中は)ヘルメット内に熱がこもる事なく、そこそこ快適に走ることができた。特にマウスシャッターとインナーサイドダクトが優秀で、ここからエアーがどんどん入ってくるのがよく分かる。
特に素晴らしいと感じたのは低速走行時で、時速30kmくらいから既にベンチレーションの効果を明らかに実感できる。真夏の街乗りでも、シールドを開けていないと熱がこもってしんどい、ということがほとんどない。これは素直に感動した。
「めちゃくちゃ涼しい」という訳ではないが、「常に空気が循環していることを感じられる」ので、結果的に涼しく感じるといった感じ。
シールドと視界
最近はどこのメーカーも優秀なので、当然歪みとかは一切ない。開閉動作もスムーズだし。
AraiはSHOEIとかKabutoと違って、シールドのロック方式が押し込みではなく、レバーによるロックとなっている。
最初は使いにくいかなと思っていたが、すぐ慣れて走行中でも普通に開け閉めできるようになったので、特に問題はない。
そのうち、プロシェードシステムも買ってみようかと思っています。
内装
内装は、正直最初は扱いに難儀した。わたしはこのASTRO-GXが初Araiなので、往年のAraiユーザーからすれば「なんだそんなこと」な内容かもしれないが、少しばかり気になったのでここに書かせてもらう。主に、頬部分に当たるシステムパッドのことだ。
SHOEIとKabutoはシステムパッドが一体で取り外せるようになっていて、外して即丸洗いが可能である。
これがASTRO-GXの場合、そうもいかない。
システムパッド自体は普通だが、先述の二社と違うのは「ウレタンクッションが張り付いたパッド本体を、パッドカバーで包んでいる」という点である。SHOEIとKabutoが丸洗いできる枕だとしたら、Araiはカバーと本体が別になっている枕だといったところ。
しかもこのパッドカバーの調整が結構大変で、一度完全に外してしまうと、取り付け位置と方向がかなり分かりにくい。頻繁に選択するのは少し躊躇するレベルの面倒さだ。
インカムの取り付け
ASTRO-GXはインカムを取り付け易いことも特徴として謳っている。具体的には、システムパッドにインカム用の穴が空いているとか、帽体のインカム取り付け位置がフラットになっているとかである。
ただ、これもSHOEIとかKabutoに比べて取り付けやすいか? と問うた場合微妙であると言わざるを得ない。
例えばスピーカー部分。
この二つは、シェル本体ににスピーカーホールが空いており、非常に取り付けがしやすい。
では、Astro-GXではどうか。
ここでも、先述のシステムパッドが牙を剥いてくる。ASTRO-GXの場合、スピーカーは帽体本体に取り付けるのではなく、システムパッドに取り付ける必要がある。システムパッドにはスピーカーホールが空いているものの、正直この仕様は微妙だ。配線も取り回しにくい。音の聞こえ方に問題はないものの、取り回しの面では確実に前述二社に劣っている。特に、わたしのように比較的頻繁に内装を洗う派にとっては由々しき問題ではないだろうか?
散々文句を言ったが、本体へのインカム取り付けはなんの問題もない。配線が外に出ることもない。
バイク用品店の店員曰くは、「B+COMに最適化されている」とのことであったが、わたしの愛用しているDT-01も問題なく装着できた。ただ、スピーカーホールの厚みがあまりないので、DT-01を取り付ける場合は別売オプションの薄型スピーカーにしたほうがいいかもしれない。
被りやすいかどうか
Astro-GXは、「開口部を広げ、(従来製品に比べて)着脱しやすくなっている」ことを売り文句の一つにしている。
わたしはAstro-GXが初Araiなので他メーカーとの比較しかできないが、感想としては「SHOEI、Kabutoよりはキツいが苦には感じない」といったところ。脱着に違和感は特にない。ただ、めちゃくちゃ被りやすいということもない。
しかし、フッティングサービスで頭のサイズも測ってもらったはずなのにどうしても頭痛が発生したので、説明書に従ってシステム内装の側頭部のパッドを取っ払った(側頭部のパッドの厚みが4mm薄くなる)。結果、頭痛は発生しなくなった。
走行性能
安定性、静音性は非常に高い。たくさんのベンチレーションダクトが付いているが、風切り音がうるさいということはない。静音性は特筆すべきものがあり、AEROBLADE-5と比較してもかなり風切り音が小さい。時速100km以上でも、インカムの音楽がはっきり聞こえるのはすごいと思う。
わたしは高速道路を走るときだけ耳栓を装着してるのだが、耳栓ありのAEROBLADE-5と耳栓なしのASTRO-GXとを比較した場合、体感の風切り音の大きさはほぼ同じレベルだ。それくらい静音性は優れていると思う。
GTスポイラーの効果はよくわからないが、安定性に貢献しているのだろう。
高速走行時でも風圧でブレることなく、後方確認で振り返ったりした場合でもとても安定している。
結論
内装に関しては色々文句を言ったが、総合的には優秀なツーリングヘルメットだと思う。何よりベンチレーションと静音性は本当に素晴らしいから、これだけでも買う価値はある。
当面はメインのヘルメットとして使っていくつもりだ。
ただやっぱり内装の取り回しだけは明確にSHOEIとKabutoに劣っているので何とかならないかな、とは思うけども。
(おわり)